はなたのオールドロマンティクス

映画みて、感想をブログに書いてます。NetflixやHuluで観ることもあり、その場合はカテゴリに表示しています!

ナイトクローラー

ナイトクローラー

2014年 アメリカ

監督 ダン・ギルロイ

出演     ジェイク・ジレンホール,レネ・ルッソ,リズ・アーメッド,ビル・パクストン

 あらすじ

他人への不信感の塊みたいな男が資材を盗み、安い車に乗って盗品を売りながら生きている。もっとお金が欲しい、いい車に乗りたいと思いながらいると、偶然通りかかった事故現場でスクープ映像を撮る男に出会い、同じ仕事をしようと思い立つ。はじめは上手くいかないのだが徐々に撮影技術や要領を得てテレビ局に映像を売り込むことに成功する。部下も増える。もっと刺激的な映像を取ってもっと高く売りたい・・・。過激な映像を求めるのは視聴者がいるから。それとも彼が求めることだから?彼の欲望は果てしなく増大し続ける。

というような話である

 

Driveと似ている設定

この前 映画Driveに関して書いたのですが、設定はかなり近い。

素性の知れない男が一人でL.A.に住んでいて車を運転している。

Driveの主人公がそこから素朴に近所の女性に一目惚れするのに比べてこのナイトクローラーでは出会う他人をずっと威嚇し、侮られないよう、いかに自分に従わせるかに固執し続ける。

対照的な二人だが、どちらも魅力的な人物で Driveに劣らずナイトクローラーも面白い。

hanaeiga.hatenablog.com

 

ネタバレもする感想

※これ以降はネタバレありですので鑑賞後に読むのをオススメいたします。

何も持っていないルイス

本当に胸糞映画だと思う人もいるだろうし、色々な要素がある。

主人公のルイスは本当に貧しい人で、それは金銭的な意味だけではなく、善悪の判断も社会的な文化資本的な何かも何もかも持っていない。という意味で。

彼は何かを持っている人にそれを見せびらかされるのに我慢できない。

何も持っていないから失うことも怖くないし、失うものがある人も我慢ならない。

倫理に反する映像を求めたのは誰か

どんどん足を踏み外す感じで過激な映像を手に入れるために手段を選ばなくなるルイスなのだが、彼自身が残虐なことを好んでいるかと言えばそうでもない。

ただ、気にならないだけなのだ。

むしろ残虐なものを求めているのは視聴率を求めるテレビ局であり、もっと言えば一般の視聴者が求めているものでもある。

ルイスはそのことだけを指標にして仕事をしていて、ブレーキがなく、猛烈にそこに突撃していっているだけの存在に過ぎない。

 

彼から全てを奪ったのは何なのか

ここまで来て、もう一つべつの映画が思い浮かぶ。それはスコセッシのタクシードライバー。

あの映画の舞台はニューヨークだけど、あの主人公も何も持っていない。

でも彼が何も持っていない理由はベトナム戦争だ。

アメリカが勝てなかった戦争で傷ついた兵士は英雄としては認められずに時代の隙間に落ちていったと言われているが、

そんな傷ついて何も持てない男がハンドルを握る姿というのが繰り返し色々な映画の中に登場する。

このナイトクローラーのルイスがなぜこうにも空虚な内面なのか知るよしもないのだが

歴代の素晴らしい映画が物語ってきた人物像にどこか重なるものがあるのかも知れない。