Drive
Drive ドライブ
2012年 アメリカ
出演 ライアン・ゴズリング,キャリー・マリガン,アルバート・ブルックス,ブライアン・クランストン,クリスティナ・ヘンドリックス,ロン・パールマン,オスカー・アイザック
あらすじの紹介
強盗犯の逃走を手伝う主人公は寡黙で冷静、かつ名乗らない。昼間はカースタントの仕事もこなし、横転の演出もお手の物。運転の才能を感じさせるシーンは気持ち良い。
同じフロアに住んでいるシングルマザーとおぼしき彼女と少し仲良くなり、彼女の夫が刑務所に居ることを知っても動揺しないドライバー。徐々に彼女との距離は縮まるが夫が出所してきたところから、静かなドライバーの生活が変わる・・・
ネタバレありの感想
音楽
初っ端からめちゃくちゃかっこいいと思ったのは、音楽。
と言うかそもそもDVDのジャケットを見た時点でそのクールなヴィジュアルとPVを作っていた人が作った映画という前情報から、めちゃくちゃスタイリッシュな映画なんだなという想定で見始めたのですが、音楽のかっこよさとか幸せなシーンの美しさの印象を後から全て覆い隠すアクションと破壊力満点の暴力シーンにびびったのであった。
バイオレンス
強盗犯を逃走させるという物騒な仕事をしていながら、銃を携帯しないドライバー。
同じフロアの女性、アイリーンの夫であるスタンダードが刑務所から出てきたことにより、このままドライバーとアイリーンの仲が深まるということは無さそうだ。
叶わない恋だったんだなと爽やかに二人の関係が終わるかと思いきや、ある晩、スタンダードは何者かに襲撃されており、その場に息子のベニシオが居た。
優しいドライバーはベニシオを気遣う。するとベニシオは銃弾をドライバーに見せて、スタンダードを襲った何者かに「なくすな」と言われたことを打ち明ける。脅しだ。
スタンダードは刑務所の中の借金が理由で悪い人たちに目をつけられていた。
ここで関係を絶たないドライバーは、スタンダードの追い込まれた最悪の状況にどんどん巻き込まれることになるのだが、あっさりと銃殺されるスタンダードに比べて、強い。運転の上手さと基本的に素手で立ち向かう振る舞いは悪い人たちのボスには「素人」と呼ばれていたものの、そうとも思えない。
物語の後半で大金と女性の安全を巡って争うヤクザなオッサンも銃を扱ったりはせずに淡々と人を始末する。主人公のドライバーと言い、L.A.という大都会で銃を放つのが危険だからなのか?
刑務所に夫が入っても殊勝に支えるアイリーンもドン引きのバイオレンスシーンに、あれ?こんな映画なの?めっちゃオシャレなやつかと思ってたよ・・・という感想を禁じ得ない
キャラクター
この映画の中でいい味を出しているのはアイリーンの息子のベニシオ。
まず、アイリーンと二人でベニシオが居る時、父が不在の段階でもベニシオの顔を見てどんな父親がいるのだろうと思わせる。
もちろんそれだけでなく、ベニシオの存在はドライバーの心を開かせてもいるように感じる。寡黙なドライバーの優しい笑みはベニシオに向いている。
運転の才能と暴力耐性のあるドライバーは、ベニシオのような境遇にあったからこそ、彼を可愛がるのだろうか?というような想像もさせてくれる。
最後までドライバーは名前を明かさず、物欲もなく、クールな存在として去っていくのだが、彼を物語る要素としては アイリーンを愛する気持ちと、ベニシオへの思いやりのようなものが残る。
めちゃくちゃいいやつじゃないか。
なぜそんなにいいやつで、身体、能力的に優れた人がいつでも悲しそうな顔をしているのかは深い理由がありそうだが、明かされないままこの映画は幕を閉じる。
さいごに
というわけで、ジャケットや音楽のオシャレさに惹かれて観るときっと暴力にびっくりすることになるであろうこの映画、しかしながらなかなか楽しみました。
主人公演じるライアン・ゴズリングの静かなほほ笑み。寡黙でありながら、冷たさを感じさせない寂しそうな眼差し。これが中々この映画を彩る重要な要素だなと思った次第です。